遺産分割をするにあたって,まず確定する必要があるのが相続人の範囲です。
全ての相続人が関与しなければ遺産分割を行うことはできず,一部の相続人を除いた遺産分割は無効となります。
誰が相続人かを確定するためには,まず被相続人(相続される方)の出生から死亡までの戸籍全てを取り寄せる必要があります。
戸籍は結婚・離婚や養子縁組,戸籍のコンピュータ化などの際に新しいものが作られています。この際,全ての情報を新しい戸籍に転記するわけではないので,最新の戸籍を取得したとしても古い情報は書かれていません。そのため,これら全てを遡って取得する必要があるのです。
このほか,相続人全員の現在の戸籍謄本が必要です。
単純な相続関係(例えば,配偶者と子)で相続人が誰かは明らかと自分では思っても,法務局や金融機関などで相続のために必要な手続を行う際,必ず全ての戸籍を揃えて相続関係を証明するよう求められます。
弁護士に遺産分割を依頼すれば,戸籍の収集も弁護士が行うことになります。
近時,戸籍謄本一式の代替として法定相続証明情報の利用が可能となりましたが,この制度を利用するための戸籍の収集は従来通り行わなければならないのが現状です。
なお,相続人を確定できたとしても,その中に認知症などで判断能力に問題がある人がいる場合,遺産分割を行うために成年後見申立が必要になる可能性があるので注意が必要です。